「ひと」塾2012 開催のおしらせ

「ひと」塾 2012 
《教育実践の公共的使命(パブリック・ミッション)
開催のご案内

日 時:2012 年10 月6日(土) 10 時~18 時(受付9時30 分~)
~       10月7日(日) 10 時~18 時(受付9時30 分~)
会 場:東京都文京シビックホール会議室1・2

今年も「ひと」塾を開催します。
3.11の東日本大震災、福島第一原発のメルトダウンは、私たちの意識を覚醒させました。政治家も経済界もマスコミも専門家といわれる人たちも官僚も、なに一つ私たちが全権委任するにはふさわしくない存在であったことを。
いままでなにげなく信じていた安全神話の崩壊は、情報盲信の危険性をも教えました。そして、この国の進むべき方向は私たち一人ひとりがしっかり考え、声を上げて主張していかなければいけないことを心の底から理解しました。
教育についても考えさせられました。「教師は教え、子どもは教えられる存在だったのか?」「教師が語り、子どもはおとなしく耳を傾ける。それでよかったのか?」
こんな教室だったから、こんな文化だったから、日本人は自ら考えない、問わない集団に成り下がってしまったのではなかろうかと。
昨年の「ひと」塾では、佐藤学さんが「質」と「平等」の追求こそがこれからの学校教育に必要だと指摘しました。そして、知識獲得を最優先し教え込む東アジア型教育は、日本と北朝鮮くらいしか今残っていないとの刺激的な指摘をしました。
私たちは気が付きました。単なる知識の注入は、感覚や思考力を麻痺させることを。教えるものと教えられるものの共同作業が必要だったと。対話的創造が学校に、社会に求められていることを……。
今年の「ひと」塾で手がかりを探そうと思います。たくさんの参加者と共に学ぶことができることを期待しています。

「ひと」塾準備会(文責・千葉保)

↓New! プログラムを公開しました(9月3日)

講師紹介
10 月6日(土)

「幕末・鎌倉外人殺人事件を追う」千葉保(國學院大學・社会科教育法)
「『火打ち石』の科学――力と熱の関係」平林浩(出前教師・科学)
「内申書裁判から教育行政へ」保坂展人(世田谷区長)
「漢字のなりたちと意味──万葉集・おくのほそ道へつらなる古代の風習」伊東信夫(漢字教育研究家)

10月7日(日)
「折り紙で作る正五角形──108°の秘密に迫る」江藤邦彦(元・高校数学教師)
「相聞歌を詠んで百人一首をつくる」近藤真(佐世保市立江迎中学校・国語)
「怒りのエネルギーシフト──アンガー・マネージメントとアサーティブな怒りの表現」八巻香織(TEENSPOST
「無国籍──『私は◯◯人』ってどういう意味?」陳天璽(国立民族学博物館・無国籍ネットワーク
「原発事故後の福島、チェルノブイリ」木村真三(獨協医科大学・放射線衛生学)

案内チラシ(PDF B5で4枚)はこちらです。

10月6日(土) 9:30開場 10:15開始

■幕末・鎌倉外人殺人事件を追う
時は幕末、元治元年10月末。鎌倉から長谷の大仏へ通ずる街道で外国人2名が切りつけられました。
2人の国籍は? 村人はどう対処した? 目撃者はいた? 果たして犯人は逮捕されたのか? この事件を追いながら、当時の日本を体感しましょう。

講師:千葉保
1945年、宮城県生まれ。國學院大学講師。神奈川県鎌倉市の小学校教員をへて、2006年まで神奈川県三浦市の小学校校長をつとめる。「使い捨てカメラ」「ハンバーガー」「カード破産」など、身近な題材を社会の問題へとつなぐ授業を数多くつくる。著書に『お金で泣かないための本』『はじまりをたどる「歴史」の授業』『食からみえる「現代」の授業』『コンビニ弁当16万キロの旅』など。

11:40〜
■「火打ち石」の科学――力と熱の関係
火打ち石と火打ち金での火起こしを体験しながら、火が起こるしくみ、燃焼とはなにかを考えます。鉄と石をぶつけると火花が起きるのはなぜ? 火花をどうやって炎にする? 力を熱に、熱を炎に変えていく、先人たちの知恵がつまった火起こし道具を科学します。火打ち石と火打ち金のかんたんな作り方も紹介、ものづくりのおもしろさも味わえる授業です。

講師:平林浩
1934年、長野県生まれ。1988年まで小学校教諭。退職後は「出前教師」として、地域の子どもやおとなに科学とものづくりのたのしさを伝えている。「仮説実験授業研究会」「障害者の教育権を実現する会」会員。著書に『授業・科学をたのしむ』『しのぶちゃん日記』『仮説実験授業の魅力』など。今秋には『作って遊んで大発見! しくみを謎とく「ものづくり」』を刊行予定。

14:30〜
■内申書裁判から教育行政へ
2011年4月に世田谷区長に就任し、電力情報の開示や放射線測定など、いち早い政策の対応で注目されている保坂さん。その原点は、学校に広がった管理と服従のシステムを告発する教育ジャーナリストとしての活動でした。学校と子どもの問題を知り抜いた行政の長として、この1年半の取り組みの報告です。

講師:保坂展人
1955年、宮城県生まれ。都立新宿高校・定時制中退。中学在学時の政治活動の自由をめぐり「内申書裁判」の原告として16年間たたかう。1980年代から教育ジャーナリストとして活躍。中高生から大きな支持を得る。1996年から衆議院議員を3期つとめる。盗聴法や年金問題などへの鋭い質問を数多くおこない「国会の質問王」と呼ばれる。「チャイルドライン」の実現や児童虐待防止法の制定にも尽力。2011年より東京・世田谷区長。

16:10〜
■漢字のなりたちと意味──万葉集・おくのほそ道へつらなる古代の風習
白川静さんの文字学は、漢字ができたときの正確ななりたちを解き明かしてくれました。漢字のもともとの意味を知るには、自然のなかに神を見いだした古代人の心を知ることが不可欠です。じつはその心情は、さまざまな作品をつうじて私たちのなかにも生きています。漢字を知り、古典の読みも深まる一石二鳥の講座です。

講師:伊東信夫
1926年、山形県生まれ。漢字研究家、教育実践者。1947年から91年まで、長く教職にたずさわる。60年代より、研究者と教師の共同研究をもとに、「漢字」「かな文字」学習の体系化をはじめとする実践的方法論を探究。80年代後半より白川文字学に学び、また直接教えを受け、漢字の世界を伝えるために研究をつづける。著書に『漢字なりたちブック』、『漢字のおもしろ世界』、『あいうえおあそび』、「漢字がたのしくなる本」全シリーズ(共著)など。

17:10〜 質疑応答・ディスカッション

19:00〜 交流会(会場より徒歩8分「福園酒家」にて)参加費3000円

10月7日(日) 9:30開場 10:00開始
■折り紙で作る正五角形──108°の秘密に迫る
紙と鉛筆で描くのは難しい正五角形ですが、折り紙ならたった1回ハサミをいれるだけでつくれます。対角線をつなげると星型に。そこをよく観察すると? 不思議がつぎつぎとあらわれます。
参考図書=篠田幹男『図形の探検』 各人で切り抜きをしますので、ハサミをご持参ください。

講師:江藤邦彦
1942年、長野県生まれ。埼玉県内の高等学校で長く数学を教える。ひょうきんさと哀愁の入り交じる語り口に数学の条理をおりこんだ授業にファンは多い。高校数学の教科書も執筆。著書に『法隆寺にひそむ白銀比 五稜郭にひそむ黄金比』『定年男の数学物語』『数はそよ風にのって』など。

11:10〜
■相聞歌を詠んで百人一首をつくる

恋心を詠みかわす相聞歌をつくってみましょう。相手は、与謝野晶子や北原白秋、河野裕子など「恋詠み」の名手たち。歌人の詠んだ〝きみ〟〝あなた〟に変身して、虚構の相聞歌をつくります。作品は「ひと塾百人一首」としてまとめ、参加者全員で共有します。新しい歌人の誕生に盛り上がること必至! 恥をかくのも創作の醍醐味、思いきりたのしみましょう。

講師:近藤真
1957年、山口県宇部市に生まれ、長崎県北松浦郡で育つ。中学校校長。国語教師として、文学作品の深い読みと創作をとおし生徒がみずからのことばを紡ぐ授業をつくりつづけてきた。著書に『大人のための恋歌の授業』『中学生のことばの授業』『コンピューター綴り方教室』、共著書に『文学作品の読み方・詩の読み方』がある。

13:10〜
■怒りのエネルギーシフト──アンガー・マネージメントとアサーティブな怒りの表現
この世に生まれたときに人が最初に表現する感情は「健康な怒り」です。
やがて、周囲の大人に愛されよう、認められようと、ありのままの自分を抑圧し、心の壁を築くなかで、「不健康な怒り」がふくらみ、キレたり、タメたり、コモったり、それが外に向く暴力、内に向く暴力へとつながるのが思春期。
子ども・若者たちが仲間の中で怒りの表現を洗練させていくことは、精神的自立と自己信頼への架け橋となります。
アサーティブな怒りの表現は、仲間同士の関係、親密な関係、コミュニティのエンパワーへとつながり、多様性と人権意識に根ざした未来社会を目指します。

講師:八巻香織
特定NPO法人「TEENSPOST」代表理事。
1992年日本初レターカウンセリング思春期相談室開設。子どもの権利擁護と自立支援のための大人の精神保健づくりを目指し、「アサーティブ・コミュニケーション・トレーニング」「機能不全家族の子どもケアプログラム」「非暴力SPA(Safer Peaceful Action)プログラム」など、書く描く歌う演じる多様な表現を用いた本質的暴力予防を企画運営。各地の小・中・高校や医療・福祉・教育現場に出前中。著書に『こじれない人間関係のレッスン』『スッキリ! 気持ち伝えるレッスン帳』『ひとりでできるこころの手あて』『手紙でしか言えなかった』ほか。

14:20〜
■無国籍──「私は◯◯人」ってどういう意味?

国籍って誰でも持っているものだと思っていませんか? 世界には、さまざまな理由により国籍を持たない人びとが1500万人以上いるといわれています。日本国内にも、無国籍の事実を知らずに育つ子ども、知ったために苦しんだり、教育や就職で不利益を受ける子どもも少なからず存在してます。陳さんからのお話から、地球市民として誰でも基本的な人権が守られる社会について、一緒に考えてみませんか?

講師:陳天璽
1971年、横浜中華街生まれ。国立民族学博物館准教授、特定NPO法人「無国籍ネットワーク」代表。台湾から横浜に移住してきた家族は、日中国交正常化により全員が無国籍となる。華僑・華人問題をはじめ、移民・マイノリティ問題、国境・国籍問題に取り組む。著書に『無国籍』『華人ディアスポラ──華商のネットワークとアイデンティティ』など。

15:30〜
■原発事故後の福島、チェルノブイリ
3.11以前から警告されつづけてきたにもかかわらず、起こってしまった原発事故。放射線からどのように身を守っていくのか。ウクライナと福島、苛酷な汚染の現場で調査をつづけてきた木村さんからお話をうかがいます。

講師:木村真三
1967年生まれ。獨協医科大学准教授。専門は放射線衛生学。福島第一原発事故がおきたすぐあとに、勤務していた研究所の職を辞して福島に入り、放射能汚染の調査をおこなう。そのようすを放映したNHK・ETV特集「ネットワークで作る放射能汚染地図」が大きな話題をよぶ。同時に、チェルノブイリの調査もつづけている。

16:30〜 質疑応答・ディスカッション

参加費:2日間=1万円 1日のみ参加=5千円(学生は半額)
当日受付にてお支払いください。
1日目の夜に交流会をおこないます(参加費別途3000円)。
宿泊ご希望の方には、会場近くのホテル「東横イン」を予約いたします。(朝食付7,480円)

申込要項
主 催:ひと塾準備会
申込先:メール mailアットマークhitojuku.info
Tel  03-3815-0605 Fax  03-3815-0698
(太郎次郎社エディタス内)

会 場:文京シビックホール
会議室1・2
東京メトロ丸ノ内線・南北線
後楽園駅から徒歩1分
都営大江戸線・三田線
春日駅から徒歩1分

申 込:
以下の項目をFax、メール、
郵送などで上記あてにお送りください。

●お名前
●ご住所
●電話番号
●EメールまたはFax

●参加日程
宿泊予約以外は当日変更も可能ですが、会場・資料準備の都合上、
ご希望・ご予定をおしらせください。

1日目 参加 不参加
2日目 参加 不参加
交流会 参加 不参加
宿泊申込  要 不要 (9月20日締切)

 

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